猫撫で声 カミSamaに熾られた日:紀元前60日

 「ねぇ あんたぁ あのねぇ」

はじまった 猫撫で声

ウー ワンワン って 吠えてみたい

「ちょっと 聞いてんの?」

「はー なにー?」

「ちょっと 玄関のドア 戻りがわるいの」

「あー こないだ ビス 外れとったし」

「もう古いから 買い換えようかなぁ って 思うの」

「うん、ビス嵌めたけど 一個 無かったしね」

・・・

数日後 玄関ドアのカタログ てんこ盛り

「ねぇねぇ どれにする? 付箋つけといた 見といて?」

はぁー だけど 付箋 いっぱいあるなぁ

・・・

翌日 「やっぱぁ これが いいわぁ どう?」

翌々日 「やっぱぁ こっちかなぁ 色目がいいしねー」

翌翌々日 「これもいいわねぇ 迷うわぁ」

さらに数日 そろそろ決めんとキャンペーン締め切り

「ところで あんたは どれが いいの?」

「うーん、これかなぁ と 思うんだけど」

「ふーん、 なかなかだね よし」

・・・

・・・

新しい 玄関ドア 付いた

玄関が明るくなったぁー

「さすが わたし センス いいわー」

「えっ?」

「何言っとんの? 付箋 貼ってあったでしょ?」

エー? エー? ビェーン⁉